ビタミンD摂取は、新型コロナ予防や治療に役立つか?

新型コロナとビタミンD新型コロナ治療法
ビタミンDは新型コロナの予防・治療に使えるか

ビタミンDが新型コロナ感染に有効とするエビデンス

ビタミンDというと、骨を丈夫にする作用があり、骨粗鬆症の予防や治療に使用されるというイメージを持つ方が大半だと思います。

勿論、それは正解なのですが、それだけではなく、2020年頃より「ビタミンDが新型コロナの予防や重症化防止に効果がある」とする研究結果が続々と出てきています。

ビタミンDとCOVID-19の関係については、多数の研究が行われており、全ての研究で効果が認められた訳ではありませんが、いくつかの観察研究は「血中ビタミンD濃度が低く欠乏している人は、新型コロナに感染すると重症化しやすい」ことを示唆しています。

以下のサイトでは、いくつかの研究結果(医学論文)の要点が紹介されています。

緊急速報 ビタミンDでコロナ感染予防を | 健康コラム | 田中消化器科クリニック|炎症性腸疾患診療や胃・大腸カメラ(内視鏡検査)を静岡市で実施
年間7,000件の内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を実施。豊富な実績でがんの早期発見と適切な治療を行います。きめの細かい炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)診療、アンチエイジング(抗加齢医学)にも力を入れています。

これらは観察研究であり交絡因子などの影響を排除出来ていないため、COVID19に対する真のビタミンDの効果を検証するためには、無作為化比較試験(ランダム化比較試験)と呼ばれる厳密な研究を行う必要があります。ただし、大規模なランダム化比較試験は莫大なコストがかかるため、ビタミンD製剤のように薬剤の単価が低く、採算性が低いものの場合、なかなか実施されません。

しかし、COVID19以外のウイルス感染症に関しては、感染抑制効果を示す、信頼度の高い研究が既に実施されています。例えばインフルエンザでは、海外で実施された多施設共同ランダム化比較試験によると、乳児に1,200IU(30㎍)のビタミンDが投与することで、インフルエンザ症状からの早期回復、ウイルス量の速やかな減少といった働きが示されました。

ビタミンDが免疫系に与える影響とは?

また近年、ビタミンDには免疫賦活化(免疫活性化)の作用があることが、明らかになってきました。

理化学研究所 生命医科学研究センター 福山英啓博士は、インフルエンザワクチンのアジュバントを研究中、ビタミンDによって活性化する免疫系の経路を発見しました。ワクチン接種や感染後に、再感染や重症化が起こりにくいのは、免疫系の細胞が病原体の特徴を覚え、同じ病原体が体内に入ってきた際に素早くその病原体を攻撃する抗体をつくるからです。

病原体の特徴の記憶に重要な役割を果たすのは「メモリーB細胞」。ビタミンDによって活性化された免疫反応によって、メモリーB細胞がより多くつくられることが分かりました。

参考サイト:ビタミンDで高効果の新型コロナウイルスワクチン開発

またその他の研究でも、ビタミンDにはウイルスの複製率を下げることのできる物質の誘導、炎症性サイトカイン(肺炎惹起物質)濃度を下げ、抗炎症性サイトカインの濃度を高める作用があることが分かっており、ビタミンD欠乏症は急性呼吸窮迫症候群の一因となることが判明しています。その致死率は低い活性型ビタミンD濃度と関連しています。

これらの作用機序やメカニズムにより、ビタミンDが感染症の予防や重症化防止に重要な役割を果たしていることが判明しております。

ビタミンDの長年の使用実績と高い安全性を考えると、(副作用を考慮しても)単独または併用療法として使用するのは、理にかなっていると思われます。

このようなエビデンスの蓄積に基づき、新型コロナ対策としてビタミンD摂取を推奨する公的機関も出てきております。例えば英国のNHS(国民保健サービス)では、「外出抑制に伴う日光照射不足による皮膚でのビタミンD合成低下に対する対策として、ビタミンDサプリメントは有用であり、利用も考慮すべき」としています。

プロトコール(投与方法)

ビタミンDの新型コロナ予防に関する飲み方ですが、2021年6月5日、FLCCC (新型コロナ治療最前線のクリティカルケアアライアンス)が日本オリンピック委員会へ COVID-19の予防・早期治療プロトコルを正式に提出しました。内容は以下の通りです。

■予防のプロトコール(18歳以上で40kg以上の成人)
・イベルメクチン18mg錠:治療開始初日1回、後は毎週(7日ごと)
・ビタミンD3 2,000 IU (50μg):毎日
・複合ビタミン 1錠:毎日

このレジメンでは、予防におけるビタミンD3の投与量は、毎日2000IU(50μg)となります。IU(アイユー)とは、国際単位(International Unit)の略で、脂溶性ビタミンやホルモン、酵素、薬物などの活性を示す単位であり、一定の生物学的効果を発揮できる量が国際的な同意の上、物質ごとに決められています。

アメリカなどでは脂溶性ビタミンの国際単位表示が定められていますが、日本では重量単位で示すことが求められており、ビタミンDの場合、2000IU=50μgとなります。

ビタミンDの内服薬は、市販薬として薬局やオンラインで購入可能ですので、簡単に入手出来ると思います。

食事等による摂取方法

日本人の多くは、ビタミンDが不足しがちな生活を送っていると考えられております。「日本人の食事摂取基準 2020年版」によると、厚生労働省が定める摂取基準(目安量)は、18歳以上の成人男女では、8.5μgとなっています。ちなみにこの基準は欧米の半分程度です。

しかし、実際の年代別摂取量の平均を見ると、60歳未満の男女では5〜7μg程度とかなり不足気味ですが、70代以上ではほぼ目安量が摂取出来ています。

実は、ビタミンDは通常の野菜や穀物、豆、芋類にはほとんど含まれず、含有量が多いのは、主に魚類やきのこ類(主に椎茸、舞茸)となっています。肉類や卵類にも少しは含まれておりますが、含有量は魚類に比べると大幅に低くなっております。

そのため、和食を中心とする食生活を送る高齢者ではビタミンDが不足しづらく、食習慣が欧米化している若年〜中年層は、かなり不足している状況です。

また食事摂取以外でも、紫外線を浴びることで、ビタミンDが体内で生成されます。

成人が1日に必要なビタミンDはおおよそ15μgとされており、食事摂取で足りない分は、太陽光線を浴びること(日光浴)で、補うことが可能です。

紫外線の量は、季節により変動する(夏は多く冬は少ない)が、夏場では、1日に約15〜30分程度の日光照射時間が必要とされます。

総括(まとめ)

以上、ビタミンDの欠乏は感染症のリスクを増大させる可能性が高く、新型コロナ感染者数が増加する中、ビタミンDの補充はある程度の感染予防効果が期待できるのではないかと考えます。またコロナ禍により外出が出来ない中、ビタミンDによる骨粗鬆症や筋力低下を抑制する作用は、特に中年〜高齢者の健康維持にも有用でしょう。

最近は開業医の先生なども、安全性が高く使いやすいことから、ビタミンDを積極的に処方するケースが増えているようです。

新型コロナウイルスは、次々と変異株が出現し、例えワクチンを接種しても、変異株への感染は防ぎきれず、インフルエンザ同様、半永久的に付き合っていくことになりそうです。

そんな中、いかに自己免疫を高め、感染防御をするかは、重要なポイントとなってくるでしょう。ビタミンDは、その一角を担うことが期待されます。

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